第4話 狙われた彼女

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【三歳以下のお子様はご利用できません】  そんな立て札を横に、俺は幼稚園児くらいの子供たちと一緒になって横一列に並んでいた。  店の奥に設けられた何の変哲もないレンガなスペース。  部屋一つ分といったところか。  その入り口付近で俺たちは待っていた。  ーーと、そこに。  店員らしき人が一人、部屋の奥へと入っていく。  店員は何を思ってか、部屋奥のレンガの壁を魔法の杖らしき物でコンコンと叩いた。  すると同時、レンガ壁がみるみると動いて形作り始め、部屋を大きくしていった。  俺は子供たちと一緒に歓声をあげる。  おぉ、すげーッ!!  店員は部屋から立ち去り、あとはレンガにおまかせ状態だった。  その後レンガはプログラムでもされているかのように、不可思議な動きを続け、やがて部屋の中心に一体の大きなゴーレムを造り上げた。  俺の興奮は最高潮を迎える。  思わず隣に居る彼女の両肩をガシッと興奮気味に掴んで、尋ねる。  なぁ俺、本当にやっちゃっていい? この魔法の杖で、あのゴーレムを襲ってきていい?  しかし彼女の表情は浮かない。 「やっぱりーー」  え?  スッと、俺の持っていた魔法の杖を彼女が取り上げる。 「あなたはこれを使うべきよ、ズッキーニ」  ……。  そう言って彼女は俺に、二本のズッキーニを手渡してきた。
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