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※
「うわぁ~素敵。このお馬さんの車が、私たちをどこかへと運んでくれるのね」
『無視しろ』
了解。
『馬車は?』
買った。いつでも行ける。
『よし、じゃぁそのまま彼女と一緒に西の門に向かえ。下調べ済みだ』
さすがおっちゃん。
『急げ。封鎖されたら終わりだ』
うん、分かった。
俺は彼女の手を引いて、急いで馬車の御者台へと乗り込む。
彼女が不安そうに小首を傾げてくる。
「これからどこへ行くの?」
……。
俺は微笑する。
彼女を不安にさせないように。
今から俺と一緒に楽しいデート。恋人なら当然だろ?
彼女に安堵の笑みが浮かぶ。
「そうね。そうしましょ♪」
……。
良かった。
安堵するとともに俺は真顔になり、手綱を手にとる。
おっちゃんが頭の中で言ってくる。
『やり方は分かるか?』
たぶん。映画の見様見真似。いちかバチか。
『それでいい。健闘を祈る』
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