断罪

2/15
208人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「リューイ・キタモト、そなたとの婚約をここに破棄する事を宣言する。そして、このサザンカ・アカギを婚約者とする!」 由緒あるエブリ学園の卒業記念パーティー。その会場に響いた声に、殆どの者が顔をしかめる。 会場の中央にはこの国の第一王子、アボカド・クリーブランドがピンクのドレスを纏った少女を抱いている。 その周囲には4人の青年。王子の側近候補となる将来を嘱望された有能な者たち、のはずであった。 5人の青年は正面にいる公爵令嬢リューイ・キタモトを憎々しげに睨んでいる。 「確認させていただきます。アボカド・クリーブランド様においては、私との婚約破棄をご所望。そして、そちらのサザンカ・アカギ様とご婚約するということですね?」 「その通りだ。サザンカ、私を支えてくれるな?」 「アボカド様、もちろんです。嬉しい!」 周囲に白い目を向けられているにも拘わらずピンクの空気を展開する2人。 「いちゃつくのはお2人になられてから存分にどうぞ。先ほどのお話ですが、現時点では不可能ですよ。」 「負け惜しみか、見苦しいぞリューイ!」 声を荒らげるアボカドだったが、リューイは無表情でそれを流す。 「王子と私の婚約は、王家と公爵家での取り決めにて決定した事項です。然るべき書類を整え、提出しなければなりません。スノウ、あれを。」 リューイの指示に控えていた公爵家のメイドが数枚の書類をリューイに手渡す。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!