Πの参

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「香澄先輩も、昨夜はこんな気持ちで歩いていたのかな……ううん。今までは変な事件なんか無かったし、こんな田舎道。暗くたって、ジモティーだったら慣れてるもん。心細くなんて思うワケないわ」  心細さを振り払うように軽く頭を振り、スマホの画面に呼び出した電話番号に目をやり、『電話をかける』という表示をタップしようとした時、耳元でシュッと空気を切り裂く音が響いた。 「え……?」  背後から冷たい風が頬を掠めたような感覚を受け、少し離れた地面に何かが突き刺さる。  ヒリリとした痛みが走り手を添えると、生温かいヌルリとした感触。
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