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「はぎゃぁあががががっ」
苦痛に呻き、真っ赤に染まった視界の中に、自分をこんな目に遭わせた憎き犯人の姿を捉える。
「あががががが……な、なん……で……」
思いもよらない人物の姿に目を大きく見開いた。
しかし犯人は、苦しみ悶える真奈美には一切の興味など無いとでもいうかのように、路の上で崩れた肉の塊を注視していた。
「諸行無常に響き無し」
忌々しそうに口元を歪めて呟いた台詞の意味を考える余裕もなく、振り向きざまに喉笛を真横に掻っ切られた真奈美の金属音に近いような悲鳴は、直ぐに口からコポッゴボッと溢れだす血の泡に溶け込んだ。
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