Πの肆

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「そうよね。今回は女性だけじゃなく、男性も殺害されたのでしょう?」  静かでありながらも、透明感のある声が鼓膜を震わせた。  周りはいつの間にか、彼女達と同じように授業が終わった生徒達で満席になり、騒々しさを増しているというのに、二人の声だけは、まるで映画やドラマの中で主人公達の声だけをマイクが拾っているかのように、僕の耳に自然と流れ込む。  彼女達に背中を向けた格好で座っているため、二人の顔を見ることは出来ないが、エセ関西女子高生と一緒にいる女の子の心地のいい綺麗な響きを持った声は、昨日も彼女と一緒に居た美少女を安易に想像させた。
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