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ー人ならざるものー
お嬢といる時には一つのベッドで一緒に眠る。ただ、眠るだけだ。俺がお嬢に寄って実体をなしているからなのか、親に添い寝されるのと同じ様なものだと思う。人間の女と寝るのとは全く違うが、俺にはそれが一番安心出来る。お嬢も、その時は本当に眠っている。
「あんたの主は相変わらず綺麗な顔しているのに愛想ないな」
そう言ったのは俺達が家にしているビルに同居している氏神だ。氏神の方がビルには古くから居るから、どちらかと言えば俺達の方が同居させてもらっている。
「そう言うなよ、氏神。お嬢に愛想なんて求める方が間違ってる。あれでも鵺だぜ」
「疫病を撒き散らす鵺か。おい、妖刀。鵺って雷獣だって話は聞いたことがあるか?」
「そんな話もあるな。まあ、結局はお嬢の本当の姿は解らないけどな」
「外見じゃあないからな、人間と違ってな」
笑う氏神は姿は好々爺だが、俺よりは若いはずだ。全く人外のモノは見た目では判断出来ない。
「そう言えば、妖刀。お前、何かに会ったか?」
「何か?いや、特に何も」
「ねちっこい気が引っかかってるぞ。知らない気だな」
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