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氏神は嫌そうに顔をしかめて言った。昨日、お嬢にも似たことを言われた。俺が気づいていないだけなのか。
「主が構ってくれないからって、あんたはほっつき歩き過ぎだ、妖刀。何でもかんでも構われたがる。少しは自重しろ」
「説教臭いな、氏神」
「主を大事にしろよ。俺と違って、お前は主が消えたら消えるんだろう?」
「……多分な。お嬢が消えるなんて考えた事もなかったけど」
俺は氏神の言葉に首元の鎖の先の鍔の形をした飾りを握った。もし、お嬢の力が及ばなくなって俺が実体を失ったとしても、今更一振りの刀に戻れるとは思えない。刀に戻るのなら、消滅する方がマシだ。この時代にはそぐわないモノの形に戻ったとしても、怨念を込められ使われるとは思わないが、実体を持ってしまった俺には意識が実体を動かせないのは辛い。
「凹むなよ、妖刀」
氏神に頭を叩かれ、俺は苦笑した。
「そうか、俺がお嬢を大事にしてないとならなかったか」
「そりゃあそうだろう。あんたに取って一番大事だろう、あの主は」
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