あらすじ

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人魚は、その水槽で見事美しい舞を見せた。 しかし広すぎる水槽に人魚がひとりでは少々淋しいと、放たれていた魚がいた。 人魚は、水槽の中で腹をすかせた巨大なサメに食い殺されてしまう。 その様子に、水槽の外側から見ていた男は感激し、人魚の美しさを確認した。 その後、男は水槽の手入れを終えて、再び人魚を手に入れた。 もちろん、あの街の片割れの人魚だ。 同じ手で捕まえ、連れ込んだ人魚が舞うのは、少し不思議な水槽だった。 それは全面マジックミラーの水槽。 中の人魚には外の様子は見えず、外からは人魚の舞が堪能できる。 男は舞を堪能し、人魚は自らの舞を見つめ、人魚への想いを募らせる。 しかし、この水槽の仕掛けはマジックミラーだけではなかった。 水面に蓋ができるのだ。 しかも完璧に。しかもその蓋までもがマジックミラー。 これでは人魚はどちらが水面かわからない。 水面がわかった所で、蓋は完璧で空気を吸う事はできない。 人魚は息絶えた。 その姿をまたも見守った男は、感銘を受け、至福にひたる。 しかし、そんな生活は続かず、肝心の水道が止められた。
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