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「いずみぃ~! 数学の宿題やってきたぁ?」
最近ではもう聞きなれた、語尾がやたら長く甘えた声に顔を向ける。
「はぁ? またやってきてないの?」
「だってぇ、昨日は久しぶりの合コンで疲れちゃってね、気づいたら朝だったのー」
陽に当たると倍まぶしい金髪を指に巻きながら、唇をとがらせる姫乃(ヒメノ)。
「なにそれ」
「テンション上げすぎて疲れたのかなぁ。結局すぐ家帰っちゃったしぃ」
「男見つけに行ったくせに疲れてすぐ帰るって、どうなのよ」
「あ、やっぱ泉もそう思う? やっぱ私たち似てるねぇ!」
満面の笑顔で謎の結論を導く姫乃。
この子の天然は国宝ものだと思う。
天然の意味違うけど。
「もう泉とは幼なじみかってくらい仲良しだもんねぇ」
「……そうね」
姫乃の言葉に、あたしは一瞬間が空いてしまった。
別に姫乃の言ったことに頷けなかったとか、実は仲良くないとか、そんなことではない。
高校に入学して以来、2年になった今でも一緒にいるし、天然だが優しい姫乃のそばは一番落ち着く。
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