変わった私と君

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靴を履き替え、徒歩通のあたしは自転車通のメンバーを校門で待つ。 校内からは吹奏楽の音出し、グラウンドからは野球部やサッカー部のかけ声や話し声が聴こえてくる。 それらをぼんやりと耳にいれながら、考える。 そういえば まだ校内で会ってないな。 部活入ったかな? もう高校ではしなかったりして……。 ぼんやりとした思考の中で、わずかな胸の痛みを感じた。 足はもう痛まないのに、この胸の痛みばっかりはどうしようもない。 風が吹く。 あたしの体温を連れ去ってしまうような強く、冷たい風。 自分の記憶とは違う、ザァっという音。 その記憶の音が正しいのかも、もうわからないけど。 ーーー"ひな"。 突然、頭に響いてきた。 風が連れてきたのだろう、クセのない高い声を。 もう声変わりして、二度と聴くことができないあの頃の声を---。
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