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「立石ー! まだアップなんだから、そんなとばすなよー」
ビクッと肩が揺れる。
やばい、水曜は確か外周してーーー。
この場から離れようと顔を上げると、
目が合ってしまった。
黒のウィンドブレーカーにつつまれたバランスのとれた身体、スポーツをしているとすぐわかる。
背は昔では考えられない180㎝代。
サラッとした黒髪からのぞく奥二重の瞳が、少し大きくひらいた。
そして足を止め、こちらに身体をむけ、口を開こうと……。
「泉ちゃ~ん! お待たせ!」
「ごめんね泉、チャリキー探してたら遅くなってー」
大きな叫び声が後ろから聞こえ、慌ててそちらに振り向く。
「だ、いじょうぶ……、待ってないよ……」
かすれた声でそう呟き、さっきまで視線を向けてた人物におそるおそるまた顔を向けるも、もうそこにはその人はいなかった。
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