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「もっふもふ♪ もっふもっふ♪」
「あれ? 霧島先輩?」
「あっ、宇佐川雪音なのっ」
「わんっ」
「はぅあ!? あの、あのあの、霧島先輩。その、えっと、お犬様は霧島先輩の家族ですか?」
「違うのっ。運命的な出会いがあって、撫でさせてもらってるのっ」
「あのあのっ! わたしも、その、撫でて……いいですか?」
「わんっ」
すっと頭を差し出すお犬様。
そんなお犬様の姿に歓喜の悲鳴をあげる黒マントにとんがり帽子、つまり魔女っ子スタイルの宇佐川雪音。
……やっぱり犬と呼ぶには巨大すぎる気がするが。
「わわっ、もっふもふですう~」
「なのっ」
ーーー☆ーーー
「でさ、おっさんいつまで下半身パージしたまんまなんだ?」
「大きいほう出す時に脱ぎっぱなしだったから、多分『あっち』に置きっぱなしになっているはずなんだよ」
「つまり?」
「下にはくものがないっぽい」
「…………、」
なんで、俺、人類滅亡ルートを回避するための激戦後の休日に下半身丸出しのおっさんと対面してんだ?
ーーー☆ーーー
「「もっふもっふ♪ もっふもっふ♪ もふりんこ☆」」
「わんわんっ」
ーーー☆ーーー
高校の屋上。
部外者を跳ね除ける不可視の結界に覆われた安全地帯……へと結界を破壊することなく侵入した何者か。
その少女は翼を生やしていた。
魔法的に具現している……ようにも見えない。あり得ないとは思うのだが、その翼は魔法的な後付けではなく、生まれた時から生えていたような『自然さ』が漂っていた。
「風よっ!!」
ゴォッ!! と翼の少女の周囲に無数の風の渦が発生する。竜巻を連想させる風の渦の群れが姫川楓へと殺到する。
しかし。
無表情な少女はその右手を横に薙ぐだけだった。
「『テリトリー』」
展開されるは純白の障壁。
その障壁へ無数の竜巻が襲いかかるが、そのすべてが純白の障壁に傷一つつけることなく霧散していく。
「いけ」
その障壁がパラパラと解けていく。数十の帯状に変化し、猛烈な速度で射出されたのだ。
「……っ!?」
翼の少女の魔法を無効化するほどに強固な障壁が迫り来る。単純に強固な魔法の直撃はそれだけで甚大な被害をもたらすだろう。
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