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「ふぁ……よく寝た……」
昨日は王が出現と共に撃破されたり、騎士が出てきたと思ったら『クソが!! あのリト───』とか何とか言って消滅したりと散々な一日だったが、ナンダカンダ生き残ったんだ。良かった良かった。こちとら女を懐柔して、世界を手にして、ウハウハの人生満喫するまでは死ねねえってんだ。
「んぅ? みゃだ二時かにゃ……」
いつものホロアパートの一室で俺はそうぼやく。もうちっと寝てていたかったが、やっぱ腹が昼飯寄越せって急かしてんだろうなあ。仕方なく俺はのろのろと起き上がろうとして、無理そうだから地べたを這いずりながら冷蔵庫まで。やっぱ寝起きは無理だ。こんなの人が活動していい状態じゃねえって。
「あー……もう十時間ほど寝るかなあ」
ゴロンと仰向けに寝転がる。
微睡む睡魔に身を任せる。
その寸前の出来事だった。
「あん?」
ぼやける視界。
天井。
丁度俺の真上にある天井が黒く塗り潰されていく。
いや、いいや。
あれは……穴、か?
その疑問の答えは物理的にやってきた。
「うおおおおおおああああああああ!?」
何か野太いおっさんの叫びと共に。
ズドムっっっ!!!! と視界いっぱいを埋め尽くす『何か』が俺の顔面へ降ってきたのだ。
「ごふっ、うえっ。ごぶべぇあ!?」
くっさ!? なんだこれ、めちゃんこ臭せえ!?
「いたたた……あれ? ここはどこだ?」
「いいからどけよっ」
人の上で呑気に喋る誰かを力づくで押しのける。鼻を強打したことでダラダラと流れる鼻血を握りしめた拳の甲で拭いながら、俺はいきなり降ってきた誰かさんを視界に収める。
なんか色々武装した、坊主頭で『筋肉質』な小汚いおっさんだった。
この時代に剣だの鎧だの持ってたって核兵器の時代を終わらせたほどの魔法に対抗できるわけねえってのに、馬鹿な野郎だ。
それと、だ。
なんでこのおっさん下半身丸出しなんだ?
つーか、やっぱ臭せえんだが。
「確か野糞してたはずなんだけど……。あ、きみっ。ここがどこか───」
「ふざっけんなよ、くそったれがァァァあああああああああああああああああああッ!!!!」
待て、待ってくれよ。
まさかさっき俺の顔面へ降り注いだ『何か』って野糞後のおっさんの丸出しおケツなのか!?
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