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「『大剣』について分かったことはありますの?」
「はい。あの『大剣』不思議なことに触れた人間の魔力を吸収するのです」
スカイブルー社の日本支部。
東城大和たちが住む町の『地下』に広がる社内、その一室でステファニー=スカイブルーはスカイブルー社所属の女研究員からの説明を聞いていた。
ちなみに女研究員の胸の主張は激しい。
それこそ白衣では全然まったくこれっぽっちも隠しきれないほどには。
「あのオンボロな『大剣』が、ね。おほほ、魔石で作られた武具ですの?」
「それが何とも。材質それ自体は鉄に近いのですが、どこか『ズレて』いるのです。世界中のどの物質とも完全には一致しないのですから」
「魔力を吸収する唯一の物質である魔石とも違う、未知の材質で作られた『大剣』。これが昨日発生した『震動』の中心部で発見された。おほほ、何やら厄介なことが起きそうな予感ですわぁ」
『震動』。
ステファニー=スカイブルーにも理屈は不明だが、台風や地震と同じ『何か』が発生したらしく、それを仮に『震動』と名付けたのだ。スカイブルー社の分析班によると、空間や次元といったものに亀裂が入ったとか何とか。正直意味が分からなかったが、『震動』の中心部に未知の材質で構築された『大剣』が発見された以上、何か理解不能な現象が起きたことは間違いないだろう。
「おほほ。使用者の魔力を奪う『大剣』なんて、いかにも『呪われた武具』みたいですわぁ」
「これからどうしますか?」
「引き続き『大剣』の分析を、それと再度『震動』が起きないか警戒するように。それと妾は大事な用事があるので、滅多なことでは邪魔しないこと」
「用事、ですか?」
「ええ。これからみんなと遊びに行くのですわぁ」
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