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ステファニー=スカイブルーはウキウキ気分で待ち合わせ場所である高校までやってきていた。正門を通り、屋上に向かおうとしていた時に。
ウキウキ気分を邪魔する電子音が響き渡る。
『仕事』用の着信音である。
「…………、」
あからさまに嫌そうな顔をして、それでもノロノロと情報端末(昔のスマホの進化版。機能にそう違いはない)を取り出す。
「はいはい、なんですのぉー……」
『ステファニー様っ。緊急です!』
それは胸が半端ない女研究員のものだった。彼女はどことなく興奮した様子で、
『「震動」ですっ。それも近辺三箇所で!! なにこれ、ブラックホールと似た、いやでもそうじゃない。次元や時空についてはまだ不明な点が多いけど、もしかしたら今ばら撒かれている因子が次元や時空と呼ばれるものの残骸なのかも! ならば、そうよ、法則の外に位置する「大剣」の存在が世界という括りの定義を───』
「『震動』の中心部は?」
『駅前のショッピングモール近く、東城大和が住むアパート、それに───ステファニー様が通う高校です!!』
「何ですって?」
その報告を証明するように。
ゴッ!! と屋上から姫川楓の純白の閃光と、その閃光を『逸らすほどの何か』が確認できた。
「おほ、おほほっ。今度出現したのは『大剣』と違って敵意があるとでもいうのですか!?」
そうでなければあの姫川楓が魔法を使うわけがない。それに『震動』の中心部より出現した何かはあの姫川楓の一撃を受け流すほどの実力を持つ。
「……まずい」
今暴れている何かの正体は不明だが、一つだけ言い切れることがある。このまま姫川楓と『震動』より出現した何かがやり合っていた場合───
「ねえステファニー。あれさ、楓を誰かが襲ってるように見えるんだけど、気のせいじゃないわよね?」
「いつの間に現れたのやら。蜜花、『震動』由来のものについてはできるだけ無傷で調査したいのですが」
「そっちの事情なんて知らない。楓に手を出す奴は一人残らずあたしがぶっ飛ばす!!」
───九龍蜜花が黙っているはずがないのだ。
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