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林田さんの言葉を聞いているだけで、二人がどんな会話をしているのか分かってしまう。
クールに微笑むだけの慶斗が容易に想像できてなんだか腹が立ってきた。
「林田さん、伝言お願いしてもいい?」
「ん?」
「犯人はクリーニング屋の店長と、薔薇の屋敷に住む未亡人だよって」
今日、慶斗が借りて行った推理小説の犯人だった。
カフェで読もうとして、そのからくりに気付いた時どんな反応を見せてくれるのか今から楽しみ。
「おい、犯人はクリーニング屋の店長と、薔薇の屋敷に住む未亡人だからな。じゃ」
有無を言わさず電話を切る林田さんのファインプレーに、手で口を隠して笑ってしまった。
頭が切れる人なんだなあって。
「いいよなあ、慶斗は」
「そうですか?」
「電話越しで伝言だけなのに、君を笑顔にさせちゃうんだから」
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