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悔しそうに言いながらも本を閉じて、テーブルの隅に置いた。
使っている栞が、私がプレゼントした葉をモチーフにしたシルバー製の栞でちょっとだけ驚いた。
優衣の電話で駆けつけてしまった時に誕生日プレゼントとして贈ったものだった。
「そんな感じなのかもしれない。私も色んな部分で、慶斗の気持ちを探ってしまってる」
気持ちはお互い一緒だと言われても、6年間の溝を埋めたくて。
バラバラになったジクソーパズルをはめていくみたいに、弱りきった自分の心は声やしぐさや笑顔で、実感するしかなかった。
「……俺はお前を疑わなかった。待っていてくれていると思っていた」
「……そうなんだ。あ、すいません、エメラルドマウンテンの豆乳ラテ」
「そうなんだって、お前」
「引っ越しの荷ほどきは終わったの?」
話を逸らすと、不満顔ではあるけれど渋々喋り出す。
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