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珈琲を飲み終わり、手持無沙汰から指先を絡ませて遊ばせながら外を見る。
「お腹空かないか? ちょっとだけ散歩がてら歩かないか?」
「はい!」
昨日までの燻っていた気持ちが嘘のように、慶斗さんと一緒に居られる幸せを噛みしめていた。
それから、6年前に戻ったように公園を散歩する。握られた手の熱さに、なんだかとても幸せな気持ちに包まれた。
あまり口数は少ない方だったけれど、意地悪な部分はあるけど基本的には優しく甘やかしてくれる人。
優衣みたいに話の中心にいるような人は苦手だとか、容姿で注目されるのは好きではないとか私と同じ共通点もある。
「美春」
「うん」
「ずっと、今も、美春だけが好きだった」
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