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それを着て椅子に座ると、甘みが強い珈琲の香りがする。
昨日、私が飲んだ珈琲と同じだ。
好きだと覚えていてくれたんだね。
コトリとテーブルに置かれた珈琲を、一緒に飲みながら暫く無言が続いたが、一口飲んだ彼はカップを置き、私を見た。
そのまま彼は私に簡潔に言った。
「結婚しようか」
両手でマグカップを持っていた私の手は止まる。
「や――、違うか。結婚してください、か」
「ぷぷぷぷ」
頭を掻く彼の仕草が可愛くて私は思わず笑ってしまった。
「はい。よろしくお願いします」
そう言うと、熱々の珈琲を全て飲み干した。
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