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とうとうザーっと大きく雨が屋根を打ち出した。
それと同時に炊飯器が炊けた合図を鳴らす。
小分けされたお椀を電子レンジに入れて一分。
橋本さんが作ってくれる炊き込みご飯は、甘くて鶏肉も柔らかく美味しいし、もう本当に最高だ。
おせんべいとお茶の準備も万端だから、隣の人が挨拶に来ても大丈夫なんだけど、この雨じゃあ来ないかもしれない。
縁側の屋根に一部、雨漏りがするのでバケツを置いて、そのコツンコツンと落ちる音を聞きながら、溜息が零れる。
子供に書道を教えるのは楽しいけれど、微々たる月謝でカツカツの中、一体いつまで俺は兄の借金を返していかなけらばいけないんだろう。
橋本さんだって定年越えて、沖縄の甥っ子さんとか自分の孫とかの時間も取りたいだろうしなあ。
「すいません」
「!?」
玄関から声がした。
――きっと隣の人だ。
勢いよく立ちあがったために、縁側のバケツを蹴飛ばしてしまった。
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