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花びらが唇に触れた。
その花びらを食べたのは、俺をこの花が散る檻の中へ閉じ込めた喜一くんだ。
「どうして……」
「分からないなら、もう一回キスしていい?」
俺が首を振ると、髪の中に手を入れられて梳かれる。
そのまま顔が近づいてきて、綺麗な瞳に吸いこまれた。
彼は知っている。
俺が言葉でしか抵抗していないことを。
言葉でしか抵抗できないのは、君を嫌いではないから。
花びらに残る温もりは、全て君が俺にくれた。
『華、散る、檻の中――』
君だけを思ふ。
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