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皆、上手に嘘を付いて生きている。
欲望を隠したり、悪意を閉じ込めたり、上手に笑って騙しいく。
喜一くんもそんな人かと思っていた。
何も言わないで、何を考えているのか。
怪しい人だった。
けれど、彼の行動の中心にはいつも俺の事を考えて動いていた事を知る。
「んっ」
重ねた唇がやがてどんどん深くなると、俺の着物の帯がしゅるると床に落ちていく。
肩まで着物を脱がされて、そのままストンと足元に着物が落ちる。
すると、下着を身に着けていない俺の姿に喜一君が息を飲むのが分かった。
自分なりの精一杯の意思表示のつもりだったし、自分から手紙で頼んだのだから誘うために何も着けなかった。
理性と戦っているらしい喜一君がネクタイを乱暴に放り投げると、獰猛な瞳で俺を離さないまま、優しく布団へと沈められた。
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