花、散る、檻の中。

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「――っ!」 声にならない、想像以上の質量に、身体が半分に割れた気がした。 強張る俺の胸の尖りを舌で苛める喜一くんのせいで、力は抜けて奥へ奥へと入っていく。 彼は、こんな風に真っ直ぐだった。 いつも、いつも真っ直ぐだった。おれが傷つかないように他の部分を弄って蕩けさせてくれるけど、彼の新だけは揺るがない。 この歳で、馬鹿みたいにメンタルが弱いけれど、大人は上手に嘘を吐き、自分の都合の良い世界を作り上げているけれど、彼は違う。 俺の為に、こんな甘い檻を用意してくれたのだから。 「っあっ」 彼が俺の中を動くたびに、呑み込まれそうになった。 必死で彼の背中に縋った。 何度も何度も擦りつけられる痛みは、甘美で、癖になる墨の匂いよりも俺を中毒にさせる。 「ふう。やっと半分入った」 「!?」
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