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全ての花が散り、絨毯のように所せましに落ちている庭に、綺麗とは言い難い色の縁側。
その向こうには、畳の上に長机が四つ。そして小学校低学年の子供たちが四人ずつ座り、毛筆と硬筆に別れて習字を習っていた。
くもり空を見上げてみれば、今すぐにでも雨が落ちてきそうなのが分かったが、今は目の前の紙と睨みあいだ。
一度も筆を止めることなく書かなければバランスが崩れてしまうからだ。
なのに、
「せんせー、えんがわがギシギシ言ってこわい」
「ひさめー、トイレの鍵がこわれてるぞっ」
「お稽古中は静かにしなさい。先生がお手本を書いています」
橋本さんがぴしゃりと言うと、子供たちは静まり返った。
全員に視線を送った後、誰もふざけていないことを確認すると、俺はまたお手本の続きを書き出した。
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