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子供の様な情けない約束をとりつけて、何とか橋本さんに納得してもらえた。
仕方がない。実際に筆以外のものを触ると、橋本さんが大変なんだから。
自分にそう言い聞かせると子供たちが慰めてくれた。
「……あ、雨だ」
ぽつぽつと雨が降り出すと、子供たちと橋本さんは荷物を纏めて飛び出していく。
分かってはいるけれど、一人になるのは少し寂しい。
皆に手を振るのと、隣の家のトラックが発車するのはほぼ一緒だった。
隣の家も荷運びを雨が降る前になんとか終わらせたらしい。
豪華な洋風の家だから、数メートルしか離れていないのに遠くに感じられた。
「挨拶に来るかもしれないから、お煎餅でも用意しとこうかな」
丁度皆が帰って人恋しくなった俺は、いそいそとおせんべいの準備に家へと戻った。
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