第0章

3/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
倉木『(話が逸れたな)』 倉木『(あれから、俺が恋人にフラれてから俺はこの夢をみるようになった)』 倉木『(別に海が好きだからではない。むしろ俺は直に海を見たことがないくらいだ)』 倉木『(それでも、俺が海の夢を見続けるのは)』 倉木『(目の前で砂のお城を作っている女の子に、その美しい海が似合っているからだろう)』 倉木『(会ったこともない、フラれた恋人に似てる訳もない、ましては抽象画の如くシルエットにしか見えない女の子だが)』 倉木『(そんな女の子を見てると、俺はなんだか寒く感じるのだ)』 倉木『(淋しくて、空しくて、凍えてしまいそうになる)』 倉木『(まるであの女の子が俺の心から熱を盗んでしまったように)』 倉木『(俺は今人間でもないのに、とても寒いと感じてしまうのだ)』 倉木『(もし、今自由に動けるなら)』 倉木『(俺の心の隙間を海水で埋めてしまいたい)』 倉木『(いくら海水が冷たくても、俺の心に比べたらまだ温かいだろうしな)』
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!