第1章

2/8
前へ
/8ページ
次へ
主人公である竹畑コウは毎日退屈な日々を送っていた。 進学校でもなく、平々凡々な学校になじむ気もなく、ただくだらないと感じる毎日。 コウの隣ではいびきをかいて寝ている優等生とは似ても似つかない学年トップの成績を誇る足立ユウ。 「ほんとにこいつが学年トップ? まともに授業受けてるところを見たことがないんだけど……」 コウは隣で眠るユウを見て思っていた。 そして、担任の林先生が学生簿をもってユウの元へやってくる。 「バシッ!」 学生簿で頭を叩かれたユウは飛び起きて、クラス中が笑いの渦に巻き込まれる。 「寝るなら帰って寝ろ!」 「帰っていいんですか?」 その返答に彼はまた学生簿で叩かれ、さらに笑いの渦へ……。 「何が面白いんだか」コウは心の中でつぶやく。 そして、先生はコウの方を見る。 「たまには起こしてやれ」 コウはコクリと頷きながら、「なんであたしが。完全にとばっちり」とまたも心の中でつぶやく。 そんなやりとりはごくごく日常的で、これが普通でいかに幸せなのかは、この時のコウもユウも知らなかった。 立花コナはコウとユウのクラスに在籍する言わばクラスメイトだ。 成績は常に二位。 そう、ユウにも負けず劣らず優秀である。 彼はユウのことをライバルだと思い込み、「いつか学年トップの座を奪ってやる」と毎日勉強に明け暮れていた。 あれだけ楽な授業の受け方をしてトップの座に君臨しているのが許せなかった。 そして、彼にはもう一点、大きな汚点があった。 それは小学生から中学生にかけてイジメを受けていたのだ。 それはコナの中で許せなかった。 それがずっと心の中に潜んでいた。   休み時間になり、退屈そうなコウが気になるユウは彼女に言葉を投げかけてくる。 「退屈そうだね、コウ」 「えぇ、毎日毎日何してるかわからないわ。 というか、あんたのせいでとばっちり喰らってるんですけど!」 コウは少しキレ気味に言い返す。 そして、つい手を上げそうになるコウを「まぁまぁ」とユウはとがめる。 それにしてもこの二人のでこぼこコンビは実に良く合っていると周囲の人たちは思っている。 そんな中、ユウがコウに少し提案をする。 「コウ、薬に興味ない?」 「く、薬!?」 学年トップの優等生がまさか薬をやっているのか!?  コウは驚きを隠せなくなる。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加