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「兄ちゃん乗ったら?」
雌犬に勧められたが、いかんせん……
「でかい……」
その威風堂々とした姿に俺は圧倒されていた。尻もちをついたまま後ずさる。
――ひょい
「ま、待て」
雌犬が俺の身体を軽々つまむように持ち上げて白い大犬の背に放り投げると、自身もその背中に跨った。
「ほな、しゅっぱーーっつ!」
(これは夢だ。そうに違いない。)
俺はでっかい白犬、正しくは『吽』の狛犬に乗って空を駆けていた。
(夢でなきゃ、マジでヤバいぞ。)
どこぞの誰かに動画を撮られて投稿でもされるんじゃないか? いや、その前に、
「うわあああぁぁぁー、ぶつかる!!」
山の樹々に、電線やら鉄塔、街の建物と、様々な障害物をすり抜けていく。こいつはそのスリルを楽しんでいるに違いない! 俺は叫び声を上げずにはいられなかった。
「頼むから降ろしてくれ――――!!!」
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