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正月を迎えると、毎年のように大手の神社へ参り、着物姿の女性を連れて夏目漱石一枚は必ず賽銭箱に入れていた。
そう、毎年だ。
産まれてから一度たりともその習慣を欠かしたことは無かった。
着物姿の女性は、最初はばあさんと母、だがここ十年以上は『カノジョ』という名の愛らしい女性たちが着飾って、俺の脇を飾っていたのだ。
(なのに今年は何なのだ。ったく……)
「鬼道君のそのオレ様的な態度が嫌い」
そんなわけの分からない理由で、クリスマスという大イベントの真っ最中に、俺はカノジョに振られた。
「二年も付き合っててそれはないだろ」
冷静を装って問い返す。
「二年も付き合っててあたしの不満に気づいてくれなかっただけよ。あたし、謙虚で思慮深い人が好きなの」
「なんだよ、その言い方は! まるで俺が、でしゃばりの考え足らずだとでも言いたいのかよ」
で、いささか古いが壁ドン。
「……それ、セクハラ行為だからね。訴えるわよ」
冷たい目で見上げられ、俺の気持ちも一気に冷めたってわけだ。
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