第1章 村の鎮守の神の御前

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 ――ぐにょり  なんとも言えない感触を足の裏に感じ、俺はカモシカのような脚を一旦停止させた。 「どわあぁ!!  どこの糞犬の仕業だよ! 糞ぐれえちゃんと捨てやがれってんだよ!」  思わず汚い言葉で罵倒した。  だってよ、自慢のブルーのナイキが糞まみれだぜ! 糞! 「ファッキンシッッ!!!」  怒りのあまり、欧米化しちまったくらいだ。  そんな俺を嘲笑うかのように肩を震わせ駆け抜けるランナー。そして糞犬どもの飼い主達。  これ見よがしに、糞の入ったビニール袋とスコップを持ち直す。 (ふん、『うちの坊やじゃ無いですよ』とでも言う気か)  別に犯人探しをするつもりはない。  俺をそんな小者だと思うなよ!  そして今週から、コースを変えたというわけだ。
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