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たいして長い階段でも無かった。
――木漏れ日が美しい。
などとのんびりすることもなく、俺は狛犬の間を駆け抜けて、拝殿の前に立った。
こじんまりとした神社だ。
参拝なんぞ、地元の婆さんくらいだろうな。
俺はランニングパンツのポケットから小銭入れを取り出した。
「今月はなぜか入り用が多かったんだよな」
財布の中はかなり寂しかった。
で、俺はワンコインで済ますことにした。
――からーん
木と五百円玉のぶつかる音が、静かな森に響いた。
(えー、北山台五丁目、鬼道佑
落ちた運気を上げてくれ……いや下さいませ。)
何かで読んだ。ちゃんと住所と名前を言わなきゃ、神さんには伝わらないのだと。
そして願い事は具体的に。
(とりあえず、従順なる可愛い女を、)
「アホかいな!」
「は?」
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