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――落ち着け俺。
あほかいな。漢字で書くと『阿呆かいな』だろうか。それとも『阿呆飼いな』?
そんなことはどうでもいい。この言葉が空耳であることを確かめねばなるまい。
「えー、だれかいるのかな?」
振り向き話しかける。
願わくば誰も答えないでほしいが。
しかし狭い境内には誰もいなかった。
「ふ、気のせいだな」
俺は空耳だったという結論を出し、神さんに背を向け狛犬達の間を抜けた。
「んな、五百円ぽっちで、女あてがおうやなんて、兄ちゃん図々しいにも程があるで」
いやいやいや、こんなぼろっちい神殿に五百円は奮発だろう!
声はますます鮮明に聴こえる。
しかも、狛犬から。それもJKか、いやもっとガキだ。
ローティーン特有の無遠慮な少女の声が、阿の狛犬の方から聞こえたのだ。
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