第3章 恋の矢

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「鬼道君、どうしたの」 フリーターがフリーズした俺に声をかけるが…… (いや、どーしたもこーしたも……) 派手な羽付きの武将の矢が刺さったまま、バイトの彼女は新たに切り直した伝票を置いて戻っていく。 (あれ、大丈夫なのか?) 無言の問いかけを鬼灯に投げようとするが、あいつは俺と目を合わせずに、ジュリアの陰に隠れてしまった。 「おい!」 「何?」 俺の呼びかけに答えたのは、突っ伏したジュリア。トロリとした眼差しで見上げる。 「あ、いや、大丈夫かなと思って」 「んーー? 多分無理かもー」 ――マジかよ。 正直、こういう飲み会で潰れる女子は嫌いだ。だらしが無さすぎる。 せっかくジュリアがこのメンバーの中では一番マシかと思い始めていたのに。脳内の棒グラフでは、彼女に対する評価がキュイーーンと音を立てて下がっていく。 「ごめんねー。だって鬼道さんと飲んでると楽しくってつい……」 「俺のせいかよ」 「そうだよー。鬼道さんのせいだもん」ひと呼吸おいて潤んだ目で見上げられる。「こんな風に楽しくお酒を飲めたの、ほんと久しぶりなんだもん」
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