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「ユリ、貴様との婚約を破棄する!」
「………は?」
海外からの賓客を招いたダンスパーティー。その会場に叫び声が響き渡る。
叫んだのは、この国の王太子殿下。婚約破棄を言い渡された令嬢はポカンと口を開けて固まっている。
「貴様がこのビーチ・オトコスキー男爵令嬢にやった仕打ちの数々、忘れたとは言わさんぞ!」
王太子殿下はけばけばしい化粧をし、どぎついピンクのドレスを着た少女の腰を引き寄せる。
「殿下ぁ、こんな所じゃ駄目よぉ」
「少し辛抱してくれ。この性悪を懲らしめたら別室へ行こうな」
驚きで固まる周囲を置き去りにピンクの空気を撒き散らす2人。
「宰相子息、ダーマ・サレルー!」
「はっ、貴女は裏で手を回し、ビーチ嬢が中傷されるよう仕向けましたね?」
「一体何の話ですか!」
令嬢は否定するが、断罪者達は聞く耳をもたない。
「騎士団長子息、ノウ・キーン!」
「ははっ!貴女は舞踏会の折りビーチ嬢を転ばせ恥をかかせましたな?」
「そんなの身に覚えがありません!」
令嬢はまたも否定するが、それは断罪者達の怒りの火に油を注ぐ結果となった。
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