第1章

2/4
前へ
/4ページ
次へ
「ユリ、貴様との婚約を破棄する!」 「………は?」 海外からの賓客を招いたダンスパーティー。その会場に叫び声が響き渡る。 叫んだのは、この国の王太子殿下。婚約破棄を言い渡された令嬢はポカンと口を開けて固まっている。 「貴様がこのビーチ・オトコスキー男爵令嬢にやった仕打ちの数々、忘れたとは言わさんぞ!」 王太子殿下はけばけばしい化粧をし、どぎついピンクのドレスを着た少女の腰を引き寄せる。 「殿下ぁ、こんな所じゃ駄目よぉ」 「少し辛抱してくれ。この性悪を懲らしめたら別室へ行こうな」 驚きで固まる周囲を置き去りにピンクの空気を撒き散らす2人。 「宰相子息、ダーマ・サレルー!」 「はっ、貴女は裏で手を回し、ビーチ嬢が中傷されるよう仕向けましたね?」 「一体何の話ですか!」 令嬢は否定するが、断罪者達は聞く耳をもたない。 「騎士団長子息、ノウ・キーン!」 「ははっ!貴女は舞踏会の折りビーチ嬢を転ばせ恥をかかせましたな?」 「そんなの身に覚えがありません!」 令嬢はまたも否定するが、それは断罪者達の怒りの火に油を注ぐ結果となった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加