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「何の事だかさっぱり分かりませんが、このお礼だけはキッチリとさせていただきます」
床に這い、身動き出来ずとも光を失わない令嬢の瞳に恐れを為した王太子は一歩後ずさる。
「つ、強がりを。引っ立てろ!」
王太子が連行を命じたその時、割り込む者が現れた。
「王女!ユーリ王女!」
品のよい、一目で最上級とわかる衣装を纏った男性が駆け寄った。
「王女、これは一体どうなっているのですか?」
「わからない。いきなり婚約破棄だの、身に覚えのない罪状を突きつけられた。否定していたらこうなったのよ」
男性は眼力だけで人を殺せるのではないかという程の迫力で断罪者達を睨む。
「エブリ国第一王女であるユーリ様にこの仕打ち、覚悟はできているのでしょうな?」
「は?え?ユーリ王女?」
この段に至り、彼等は断罪していたのが赤の他人である事に気付いた。
「国に帰ろう。このような野蛮な国、関わるだけ汚らわしい」
王女は男性をつれ会場からそのまま去った。
後に、とある国が周辺諸国から取引を断たれ滅亡したとかしなかったとか。
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