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「国語を習ってた。いろんな本を読んでてね。本人も書いてた」
「読んだ?」
「ああ。僕が記念すべき処女作の読者第一号さ」
「ふうん」
立ち止まった途端。
ハンガーの向こうから腕が伸びてきて
「捕まえた」
かくれんぼしている僕を抱きしめる。
「どんな話だったの?」
「ん?」
「本の内容だよ」
「そうだな」
九条さんは満足げに僕の腕を引き
クローゼットに備え付けられたベンチに腰掛けると。
「覚えてる。ありえないくらいロマンティックな純愛ものだった」
僕を愛しげに膝の上に座らせた。
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