episode193 花村教授と秘密の講義①

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「国語を習ってた。いろんな本を読んでてね。本人も書いてた」 「読んだ?」 「ああ。僕が記念すべき処女作の読者第一号さ」 「ふうん」 立ち止まった途端。 ハンガーの向こうから腕が伸びてきて 「捕まえた」 かくれんぼしている僕を抱きしめる。 「どんな話だったの?」 「ん?」 「本の内容だよ」 「そうだな」 九条さんは満足げに僕の腕を引き クローゼットに備え付けられたベンチに腰掛けると。 「覚えてる。ありえないくらいロマンティックな純愛ものだった」 僕を愛しげに膝の上に座らせた。
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