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「あなたが言う?」
周りに目をやれば
鏡張りの密室。
「素晴らしかったんだ。だから思わず彼にキスを――」
頬の緩んだ王子様は
僕の襟元を引き寄せると
意地悪く唇すれすれで囁いた。
「こんな風に?」
「まさか。ほんの子供のキスさ。君には――」
僕を求めて
高潮するミルク色の肌。
「僕には何?僕には――どうする気?」
鏡越し
目を合わせたまま
耳たぶを甘噛みしてやれば
「君にはもっと大胆に――本能のまましたくなる」
王子様は甘いマスクの下に
野獣の顔をのぞかせる。
「でも……」
しかし
それも束の間。
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