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「でも?」
九条さんはほんの少し切なげに
長い睫毛を伏せた。
「でもね、君が不思議なのは――僕の一番野蛮な部分と一緒に一番純粋な部分も揺さぶるんだよ」
「一緒に?」
だとしたら
あの時も――。
『すまない――帰ってくれないか』
彼の最も野蛮な部分と
最も純粋な部分を同時に
僕が刺激した。
「きっと繋がっているんだろうな。いつも心の中で綱引きさ」
何となく
いや絶対に
「九条さん、あなたってやっぱり凄いや」
それだと
ピンときた。
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