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「変じゃないさ。多少強引なのは認めるけど」
「多少ねえ」
嵌められた手枷をじゃらじゃらいわせながら
僕は厭味ったらしく鼻で笑った。
「誰にでもこんな真似を?」
「まさか」
「じゃあ人を見てやるんだ?」
「違うよ。僕は――」
言ってる間にも
先生は着々と準備を進める。
「僕は空気が読める。たくさん本を読むから」
「ごめんね、先生。僕、頭のいい人の言うことは分からないみたい」
両手があいてたら
頭を抱えたいところだ。
眉間に皺を寄せたままの僕に
「空気が読める――つまりこの場合、僕はお互いが楽しめる状況を即座に掴み取れるってこと」
講義の続きみたいに
先生は理路整然と言った。
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