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「営業ですか。なんだか大変そうですね」
「いいえ。もう慣れました。昔は人見知りで、話すのが苦手だったんですけどね」
小学生の時は友達がいなかった。吃音気味で、それが恥ずかしくて誰とも話さなかった。
そんな僕によく声をかけてくれていたのがカロ姉だった。登下校の時、朝、ゴミ出しの時。
家族以外の他人とのわずかな、そんな本当にたわいもないやりとりに当時の僕がどれだけ救われたか、カロ姉は知らないだろう。
「聞いたことがあります。はじめは目も合わせてくれなくて、ちゃんと話してくれるまで時間がかかったって叔母が言ってましたよ」
「え。そんなことまで言ってたんですか。やだなあカロ姉ったら」
話すのは昔より得意になった。でもどこか上滑りで重さに欠けると、いつだったか飲みの席で上司に言われたことがある。
思えば昔の方が一生懸命話していたように思える。じっと言葉を考えて、熱心にカロ姉と接していた。
僕の唯一の友だちで、はつ恋の相手。
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