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「でも、どうやって調べるんですか?」
母の言葉に従い、エンハンスと共に家を出たメアリーは、石畳の道を歩きながら、エンハンスに問いかける。
「とりあえず、昨日、モイーズがここを出た後どこに向かったのかを調べてみましょう。そうすれば、彼がいつ、あの倉庫街に行ったのかが分かるかも知れません」
「そうですね。あの体ですから、色々と目立ったでしょうし」
メアリーもエンハンスの言葉に同意する。
「でも、エンハンスさん、モイーズが何時に倉庫街に行ったのかが分かることに、何か意味があるんですか?」
「それはまだなんとも言えません。ただ、疑問ははっきりとさせておく方が良いと思いませんか? たとえ、それが何の意味も無いことだったとしてもです」
エンハンスは真剣な表情で応える。しかしメアリーには、その言葉の裏にもっと別の意味が隠されているような、そんな気配を感じた。
「モイーズは、昨日、こちらに向かいましたね?」
メアリーはそう言って、左側、西へと向かう道を指さす。
「ええ。ただ、こちらは倉庫街とは反対方向ですね」
エンハンスがそちらに目を向けながら応える。
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