探偵という階級

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「まあ、あなたが探偵ですか?」  マーガレットはそれでも臆した様子も無く、変わらない態度で話を続ける。 「おめえ、疑っていやがるのか? これを見てみろよ」  男はそう言うと、胸元に付けられた徽章をマーガレットに示す。アンロックのトレードマークの一つであるパイプ、それを象ったその印は、P級と呼ばれる探偵が身につけるマークだった。階段を下りきったメアリーはちょうどその場面を目撃する。声の大きさから想像したとおりの、小山のような大男だった。 「まあ、本当ですね」  マーガレットはそれでも驚いた様子を見せずに対応する。あまりの態度に、探偵の男は白けたように息を吐いた。 「この落とし前、どうして付けてくれるんだ?」  いったんは気の抜けた男は、それでも気を取り直したように声を張り上げると、マーガレットに詰め寄る。 「そうですねえ、とりあえず、帰っていただけますか? 私、夕食の準備がありますので」 「なっ」  男はマーガレットの言葉に頭の先まで真っ赤にする。
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