探偵という階級

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「テメエ、女だからと思って甘く見ていたらつけあがりやがって、この、モイーズ様を舐めたらどういう目に遭うか、分からせてやる」  モイーズは右手を振り上げると、その手をマーガレットへと振り下ろす。メアリーは母を助けるために急ぐが、部屋の中にある物が邪魔で思うように進めず、とても間に合いそうに無かった。そして、マーガレットは覚悟しているように平然としている。しかし、モイーズの手は途中で停止した。 「おい、おっさん、いい大人が情けないぜ」  モイーズの背後から、その様な声が響く。 「あん? 誰だテメエ、よそ者は黙っていてもらおうか?」  全力で振り下ろした腕を軽々と止められたことに動揺しながら、モイーズは振り返る。  その間に、メアリーはマーガレットを庇える位置に移動していた。 「女性に手を挙げるだなんて、紳士的じゃ無いとは思わないのか?」  モイーズの影になり、メアリーからは姿が見えないが、声の感じからメアリーは、その男性は自分と同年代だろうと当たりを付けた。
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