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「うるせえ、邪魔するなら、テメエから相手になってやる。この探偵モイーズ様を舐めるなよ」
「ふん、探偵と言ってもP級だろう? ただの体力馬鹿でもなれる階級だ」
その発言にメアリーは我が意を得たりとばかりに頷いていた。探偵にはいくつかのランクが有り、知力に秀で、鹿撃ち帽(ハンチング)の徽章を付けたH級、体力に優れ、パイプの徽章を付けたP級、そして、どちらも兼ね備えた人物、これは本当に数えるほどしか存在しないのだが、彼らはサーチャーの頭文字から取られたS級と呼ばれていた。
そして、その上にもう一つ、世界にも数人しか存在しない階級があるという話をメアリーは聞いた事があったが、それはただの根も葉もない噂だろうと思っていた。
「もう勘弁ならねえ、泣いて謝ったってゆるさねえからな」
謎の男性に体力馬鹿扱いをされたモイーズは顔面を紅潮させると、男に向かって突進する。男はそのまま家の外まで後退し、外に出たところで体を横に反らす。モイーズが勢い余って前につんのめっている所で足を引っかけるとモイーズを往来へと転ばせた。
「てめえ、逃げんじゃねえよ」
モイーズは恥ずかしさと怒りから顔を真っ赤にすると、あわてて立ち上がりながらもそんな言葉を吐く。
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