探偵という階級

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「完全に三下ですね」  青年は深いため息を吐いた後、そんな言葉を発し、それからメアリー達に視線を向けた。 「大丈夫でしたか?」  先ほどまでモイーズに向けていた態度とは一変し、青年は慇懃とも言える態度でメアリー達に問いかける。 「はい、助かりました」  メアリーはプラチナブランドの髪を揺らしながら、深く頭を下げる。 「それは良かった。お母様の態度があまりにも落ち着いておられたので差し出がましいかとも思ったのですが」  青年はそう言うと、では、と右手を挙げてその場を立ち去ろうとする。 「ちょっと待ってください、何かお礼をさせてください」  メアリーはそう言って慌てて青年を呼び止める。 「困っている女性を助けるのは男性の務めですので、お気になさらず」  青年は足を止め、振り向くとそう言って断った。 「そうは行きません。お世話になっておいて、何もせずに返したとあっては、人の道に外れます」  メアリーがそんな言葉で応える。 「ははは、そちらは人の道ですか。それなら、断るわけにはいきませんね。私も人の一端ですから」  青年は人好きのする笑顔を浮かべ、メアリーの申し出を受け入れた。
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