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「でも、探偵なんて碌な物じゃ無いわ」
メアリーのあけすけな言いように、青年は思わず声を挙げて笑ってしまう。
「あら、ごめんなさい。お客様の前で、こんな」
その声を聞き、メアリーは不意に恥じ入るような様子を見せる。
「いや、大変素晴らしいご意見だと思いますよ。確かに、近頃の探偵と言えば先ほどのようなごろつきばかりになってきていますから」
青年はそう言ってメアリーの意見に賛意を示した。
「近頃だけじゃ無いですよ。どうせ、アンロック・サーチャーだって、碌な者では無かったと私は思いますね。さっきも親友から誕生日プレゼントにともらった奇巌の王を読んでいたんですけど、危ないところを助けておいて、その恩義を感じている相手を妻にするだなんて、卑怯ですよ」
メアリーは得意げな様子でそんな持論を展開する。
「ははは、これは手厳しい。そう来るとは思いませんでした」
青年が本当に困っているような様子なのに気がついたメアリーは顔を赤らめ、椅子の上で小さくなる。
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