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「申し出はありがたいのですが、今のところ、どのようにすれば良いのか、私自身、まだ皆目見当も付いていませんので。もし、ご協力をお願いする事が出てきたら、その時はお願いします」
「ああ、遠慮せず、何でも言ってくれ」
アンダーウッドはそう言って口角を吊り上げて笑った。それは、エンハンスの目的がかなり困難で有ることを感じとったアンダーウッドなりの優しさの表現方法だった。
「お父さん、じゃあ、エンハンスは」
それまでハラハラと二人の成り行きを見守っていたメアリーが口を挟む。
「うん?」
アンダーウッドがその言葉に、その様な頓狂な声で応える。
「うちに泊まってもらっても良いの?」
「当たり前だろう? 元々そういう話だったじゃ無いか。何をいまさら」
アンダーウッドはメアリーの心配をよそにその様な事を言う。
「もっとも、お前が嫌だというなら、俺もすぐさま反対に回るがな」
「そういう訳じゃ無いけど」
メアリーは困ったような表情を浮かべる。
「ただし、娘とあまり親しくしすぎるのは禁止だぞ」
不意に、今まで以上に険しい表情を浮かべ、エンハンスをにらみつける。その表情にさしものエンハンスも、一瞬怯んだ様子を見せた。
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