1329人が本棚に入れています
本棚に追加
/756ページ
ジオーヌが城を出る十分ほど前……ポムの家にて。
「んっ……」
ベッドに臥していたロズリアが、ゆっくりと目を開けた。
「あっ……起きられましたか、ロゼさん?」
彼女の左横から、アラミスが覗き込んで声を掛ける。
「あたしは……」
「熱中症が原因で、休まれていました。顔の赤みは引いていますし、体もさほど熱くないようですが……お加減はどうですか?」
ロズリアの体を両手で触りながら確かめるように尋ねるアラミスに、大丈夫よとロズリアは答えた。
上半身だけ起こして辺りを見回した彼女は、あらっと不思議そうな声を上げる。
「ジオーヌが……居ないわね?ポムも……」
「ジオーヌさんはポムさんに案内を頼み、夢族の王の城へ向かわれました」
「そう……って、あたしを置いて一人で行ったの!?」
「はい。その際、私にロゼさんの側に居るようにと申し付けました。もう……二時間ほど経ったでしょうか」
淡々と教えるアラミスに、うーっと不満を心の内に抑え込むように、ロズリアは唸った。
(なんで一人で行っちゃうのよ、ジオーヌ!あたしが目を覚ますまで待っていてくれればいいのに!)
そんなロズリアの心を彼女の表示から読み取ったのか。
アラミスは説明を続ける。
「ジオーヌさんはロゼさんを待つことを考えた、と仰られていました。しかしながら、夢族の王がお二人を呼んでいると聞き、王を待たせるのは失礼だと思ったようでした」
「た、確かに……それも一理あるけど。だからって……」
(……寂しいじゃないの)
ロズリアはアラミスから視線を背けて、悲しげに目を伏せた。
最初のコメントを投稿しよう!