カイコウ

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翌日、俺は早起きをして学校に向かった。 休みに早起きなど小学生かと自嘲したが、美術室に芽衣の姿はなかった。 昨日と同じように隅に片付けておいたキャンパスが、その場から動かされた様子もない。 「あれぇ、城崎先輩?早いですね!」 名前を呼ばれてビクついた。 美術部員の子だろう、俺が開けたドアの前で留まっていたから喜んでいるような、戸惑っているような声をかけて近寄ってきた。 「先輩も課題を済ませに来たんですか?」 「ん?ああ、そう」 「早いですねぇ、ご一緒出来るなんて嬉しいなぁ!」 「……そう」 落胆、していた。 毎日いるはずないだろう? 他に部員がいて当然だろ? 昨日はたまたま一人だっただけだ。 ガタガタとキャンパスを用意し始めると後から一人、また一人と美術部員がやって来た。 俺を見て上擦った声を上げて頬を赤くする。 きゃあきゃあと騒がしく室内を響かせる。 〈煩い〉 昨日の静かさが心地よかった事に気付いた。 「あれぇ、(はざま)さん消しちゃったんだー、勿体ない」 「じゃあ、もう来ないかもー。間さんって家に持ってるでしょ、キャンパス」 「うんうん、持ってるって言ってた。こっちが上手く出来たらこっちにするって言ってたのに、ダメだったのかな?」 「ほら、今日からじゃない?北条さんが旅行に行くの!」 「あの二人、一緒じゃないと学校来ないよねー」 「来ない、来ない!」 騒がしい会話から芽衣と雅の情報が入る。 女の口とは都合のいいものだ。
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